『海外で就職できるようになれば、日本の悪しき社畜文化から卒業できて、ワークライフバランスの取れた理想の中流階級生活が送れるかもしれない。けど、それに必要な語学力や手に職は(自分のような凡人にとっては)一朝一夕では身につかないし、仕事以外で我慢しなければならないこともあるだろう。だから社畜文化から逃れたい人全員に海外移住を勧めるつもりはない』
みたいな感じの話を、去年海外脱出を安易に勧めない理由という記事の中で書きました。
この時書いたことは正しいと今でも思っています…が、この話を読み返した時に『こんな話、誰かにする必要あったかな』と、少しだけ思ってしまいました。
『自力で海外移住しようなんて考えている人は人並み以上に自立心があるはずだ(←遠回しに自分の事を言ってるんじゃないですよ)。俺からこんな説教みたいな話をする必要無かったんじゃないのかな』と。
それじゃあ、海外脱出(=社畜生活卒業の為の海外移住)という選択肢はどんな人に向いているのでしょうか?
自分が思うに、(人脈も語学力も手に職も)何もない状態から海外脱出ができる人とは…
海外脱出が向いている人の特徴1:長期的な計画を持てる人
社畜生活からの脱出経路
『海外移住は社畜から卒業する為の選択肢の一つにすぎない』と私は書きました。じゃあ他にはどんな選択肢があるんでしょうか。思いつくのは…
- 自分のビジネスを持つ(ブログ、アフィリエイトサイト、Youtube、ウェブサービス、ヤフオク等での転売業、電子書籍及び情報商材の販売、フリーランス業も含む)
- 投資で稼ぐ
- ワークライフバランスの良い職場が見つかるまで転職する
(他にも『金持ちの異性のヒモになる』とかも思いついたのですが、ふざけていると思われそうなので消しました)
海外脱出のメリット:再現しやすい
社畜生活からの卒業を望んでいる人にとって海外脱出の利点とは、上記の方法よりも再現しやすい点じゃないかと思います。言い換えれば、何の才能も持っていない凡人でも、コツコツ努力していくことで、運に頼らず他人の成功を真似できるという点です。
上記1つ目の『自分のビジネスを持つ』はどうでしょう。あなたがスティーブ・ジョブズの伝記から感銘を受け、「自分も彼のようになりたい」と願っても、Appleはすでに存在します。あるいは人気ブロガーになり、その人気を活かして書籍を販売したいと思っても、存在する人気ブロガーの記事をそのままコピペすることはできません。ビジネスモデルを真似しただけでは成功までは模倣できません。

2つ目の『投資で稼ぐ』はどうでしょうか。あなたが投資の神様ことウォーレン・バフェットに影響され、彼と同じ銘柄の株を買おうと思っても、現在それらの銘柄は彼が買った時とは違う値がついているでしょう。
3つ目の『ワークライフバランスの良い職場が見つかるまで転職する』は?おそらく社畜労働から抜け出せなくて苦しんでいる人の多く人がこの道を選ぶことでしょう。でも、仮にそんな職場が見つかっても、数年たったら多忙な部署に転勤になったり、あるいは横暴な上司があなたの部署にやってきたら?
日本のサラリーマン達がこれを聞いたら怒るでしょうが…社畜文化が存在する社会でワークライフバランスの良い職場を探すくらいなら、初めからそんな文化が存在しない社会へ行った方が成功率が上がるとは思いませんか?私は思いました。結果、今の人生を歩んでいます。
さて、これら3つと海外脱出を比べてみましょう。海外脱出に必要なステップとは…
- 興味のある国をいくつか挙げ、それら国々の労働に関する情報(労働時間、有給の取得率、失業率など)について調べる
- その中から、自分が望む生活を送れそうな国を選ぶ
- そこのビザのとり方を調べる
- そこで不足していて尚且つビザが出やすい職業を調べる
- 生活の立ち上げに必要なお金の額を計算する
- ビザの取得の準備+生活開始に必要なお金の工面+その職業に就くのに必要なスキル及び語学の習得に励む
上記の1と2はネットが使えて読み書きができる人なら誰でもできます。3と4は現地語がまだわからなくても、各国のビザの発給情報や不足している職業について情報発信しているブロガーはたくさんいます。あとはお金の工面とスキルの習得、そして外国語の勉強に励むのみ。
運も、創造力も、人脈も、飛びぬけて優れたIQも要りません。長期的な計画を持ち、それに向かってコツコツと勉強と貯金を継続できること。それができるなら、他の(海外移住者である)日本人の成功を真似できます。
海外脱出が向いている人の特徴2:日本に未練が無い人
これは私がオーストラリアで見てきた範囲の話ですが、長期的にオーストラリアに住んでいる外国人とは、
『母国の●●な所がどうしても受け入れられなかったから、この国に来たんだ』
と、自分の経験や価値観を元に、自分で考えてやってきた人たちでした(この●●とは、労働環境だけでなく、政治的な理由だったりもします)。そういった人達は現地の娯楽を楽しめなかったり、多少不便な思いをしても、自分の国へ帰りたいみたいなことは言いませんでした。
(また、そういった人達の中には、現地の友達ができなくても同じ国出身の者同士でつるんだり、『娯楽はNetflixで十分。クリケットとかフットボールとか知らなくても問題なくね』と、現地の文化以外に楽しみを見つけたりした人もいました)
その一方、「西側諸国は自国より優れている」とか「有名大学に留学すれば、卒業後のキャリアは安泰」といった、ネット上の赤の他人や留学エージェントの言う事を鵜呑みにしてやってきた人たちは、(仮に頭脳は優秀であっても)自国へ帰ってしまいました。結局、彼ら彼女らは自国の良さに気付いたのです。
「お前はどうなのか」って?私は日本は住み心地の良い場所だとは思いますが、特に未練はありません。和食ならポーランドでも食べれますし、家族ともスカイプで会話できます。日本でしか手に入らないものといえば日本人の彼女ですが、それは日本にいてもたぶん同じことでしょう。クソったれ。書いてて少し悲しくなってしまいました。
いずれにせよ、私にとっては美味いラーメンを食べたり日本式のカスタマーサービスを受けたりすることより、ワークライフバランスの取れた生活の方が貴重なのです。
(話は脱線しますが、逆に『サラリーマンしなくても生きていけるなら、日本に帰るのもアリかな』って考えることもたまにあります)
最後に
初対面の日本人に会い、自分が外国で働いていると話したら『すげぇ!頭良いんですね!』みたいなことを言ってもらえたことが過去にあります…けど、私にとっては海外での就職とは、生まれつき優秀な人じゃなくても、コツコツ努力し続ければ実現できる堅実な選択肢です。
(投資のように)それほど運に左右されることもないし、(起業のように)ビジネスモデルを思いつく必要もなければ人脈の構築も要らないし、銀行に行って融資をしてもらう必要もありません。(人気ブロガー・Youtuberのような)文才や創造力や他人を楽しませる能力も要りません。私からすると、そういう生き方を送っている人たちの方がよっぽど難易度の高そうな事をしているように見えます。
もしあなたの強みが継続して努力できることで、特に日本に未練が無いのなら、こういう生き方もアリなんじゃないかという気がしています。

