「オーストラリアで働くことに興味があるけど、何からどう始めればいいの?」
と思っている人へ、私がこれまで書いてきたオーストラリアでの就職/留学関連の記事を整理し、オーストラリアでの就職の計画から実際に職を得るまでの流れをまとめてみました。
これまでオーストラリア関連の記事はたくさん書いてきたつもりですが、このブログに初めて来た人はこのブログにどんな情報があるかわからないでしょうから、「オーストラリアでの就職の計画から就活までの全体図がわかる記事を1つ書こうかな」と思った次第です。
「オーストラリアでの就職に興味がある人」がやるべきことを順番に書いたつもりです。が、結構ボリュームがある記事なので、「自分とは関係ないな」と思う箇所は読み飛ばし、気になる箇所だけ拾いながら読んでもらっても構いません。
就職までの計画を立てよう
漠然と「オーストラリアで働きたい」と考えても、大抵の人は何から手をつければいいのかわからないのではないでしょうか。そこで、私は以下のような順で計画を進めることを提案します。

就労ビザについて知ろう
なぜビザの話をするのか?
理由は単純で、これがなければオーストラリアで働くのはもちろん、滞在することすらできないからです。外国人労働者にとって、ビザは命とパスポートの次に大事なのです。
私はこれを読んでいるあなたの(1)年齢、(2)職歴、(3)学歴、(4)英語力について何も知りません。が、これら4つに関係なく、ビザがなければ現地で働けるチャンスは完全にゼロです。
それでは、オーストラリアにはどういった種類の就労ビザがあり、どうすれば取得できるのでしょうか?あなたの目的(永住が目的?それとも職歴を積むことだけが目的?)にあったビザについて調査しましょう。
どんなビザが取れる?
オーストラリアで働くことが認められるビザは、以下のように大別できます。
- 学生ビザ
- 永住ビザ
- 就労ビザ
学生ビザには1週間で20時間しか働けないという制限があり、永住ビザは一般的に言って取得までに時間がかかりすぎてしまいます。なので、この記事ではオーストラリアで取得できる就労ビザの種類に絞ってお話しします。
1・自力で取れる就労ビザ
オーストラリアの就労ビザには自力で取れるビザでは
- ワーホリビザ
- 卒業ビザ
の2つが存在します。
ワーホリビザはおそらく取得難易度が最も低いビザであり、「オーストラリア ワーホリ ビザ 申請」と検索すれば申請の手伝いをしてくれる業者がたくさん見つかります。
ただし、このワーホリビザには…
- 30歳以下の人しか申請できない
- 最長で6ヶ月しか同じ雇用主の元で働けない
- 期限が1年と短め(果物の収穫や建設現場での労働といった特定の仕事をする場合、セカンドワーホリと呼ばれるビザを申請をすることで1年延長可能)
といった制限があり、ワーホリビザだけで「現地で正社員として長く働きたい」あるいは「永住したい」といった目的を果たすのは無理があります。
その一方、卒業ビザは期限が1年半から最長で4年と長く、同じ雇用主の元で働ける期限も存在しません。ただし、卒業ビザはオーストラリアのTAFE(専門学校)、大学、大学院を卒業した人でないと申請できない為、取得の難易度はワーホリのそれよりも高いです。
これら二つのビザの詳細はこちらから。

2・スポンサーから出してもらえるビザ
これら2つの就労ビザに加え、企業からビザのスポンサーになってもらうことで得られるビザも存在します。
1つめがTSSビザ(Temporary Skill Shortage visa)です。オーストラリアにはMLTSSL、STSOL、ROLと呼ばれる国内で特に不足している職種をまとめた表があり、これらの不足を穴埋めできる人材が申請できるビザです。
2つめは雇用主指名ビザ(Employer Nomination Scheme (ENS) visa)であり、こちらは雇用主から指名を受けなお且つその仕事に必要なスキルを持っている人が対象となってるビザです。
最後が地方スポンサー移住ビザ(Regional Sponsored Migration Scheme (RSMS) visa)です。このビザは政府が指定した地域の雇用主から指名を受けている場合のみ申請でき、基本的に労働力が不足している地域に住める人が手に入れられるビザです。
これら3つの申請条件+期限はこんな感じ。
申請条件 | 期限 | |
---|---|---|
Temporary Skill Shortage visa
(TSSビザ) |
|
STSOLに載った職業を選んだ場合は2年(職業によっては4年)
MLTSSL・ROLの場合は4年 |
Employer Nomination Scheme (ENS) visa
(雇用主指名ビザ) |
|
期限なし |
Regional Sponsored Migration Scheme (RSMS) visa
(地方スポンサー移住ビザ) |
|
期限なし |
人手不足な職種+業界について知ろう
国内・国外問わず、職を得るのが目的なら、人手が不足している分野を狙った方が成功率が高いのは言うまでもありません。では、勝算が高い職種・業界はどれでしょう?
一般論で言うと、最もおすすめできるのは理工系と医療系の専門職です。こういった職種を選ぶ最大のメリットは競争率の低さです。過去の記事でも書きましたが、オーストラリアではSTEM系(理系の分野の総称)を専攻する学生が少ないため、結果的に人材不足になりがちです。それにも関わらず、STEM産業の仕事の数は、他の産業のそれよりも早いペースで増えているのです。(ソース)上述のMLTSSL、STSOL、ROLにも理工系・医療系の仕事は多く存在します。
ちなみに、私はオーストラリアにてITの大学院を卒業した後にソフトウェアエンジニアの職を得ましたが、それまでITに関連した職歴も学歴もありませんでした。なので、少なくともこの業種(ソフトウェアエンジニア)に限って言えば、未経験者でもITは勝算がある分野だと思っています。

その一方、個人的に最もおすすめできないのが、営業や広報といったいわゆる文系の仕事です。これらの職業は(上の2つと比べると)競争率が高めであり、英語力に相当の自信がない方は英語を母国語とする人に対して大きなハンデを背負って戦うことになりますから。
結論を言うと、オーストラリアで現地就職したい人に私からできる最大のアドバイスは「理工系か医療系の分野でMLTSSL、STSOL、ROLに載っている職業を選びましょう」です。
オーストラリアで就職しやすい分野についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

分岐点1:もうその職種に関連した職歴がある?
狙い目な職業がわかったら、次は何をすべきでしょうか?
既に職歴がある場合
もしあなたが既にその職業に関連した職歴があるのなら、IELTSで必要な点を取り、上述のTSSビザ、雇用主指名ビザ、それか地方スポンサー移住ビザのスポンサーになってくれそうな企業を探しましょう。
もし技術独立永住ビザ(年齢、学歴、職歴、英語力の4つで申請できる永住ビザ)を狙えるのなら、是非そちらを狙いましょう。永住権があると転職がしやすく、賃上げ交渉でも有利です。
(おすすめの求人サイトおよび英文の履歴書の書き方は以下の記事をご覧ください。)


まだ職歴がない場合
では、希望する職種に関連した職歴がまだない場合はどうすればいいでしょうか?考えられる選択肢は…
- (国内国外問わず)その職業に就き、英語の勉強をしつつ、ビザのスポンサーになってくれる企業が現れるまで職歴を積む
- 現地の専門学校・大学・大学院を出て卒業ビザを手に入れる
(「オーストラリア人と結婚して永住権を得る」という方法も可能でしょうけど、それがうまくいった人に会った事が無いので割愛)
分岐点2:自力でスポンサーを探す?留学して卒業ビザを狙う?
さて、これらの選択肢にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット | デメリット | |
自力でスポンサーを探す |
|
|
留学する |
|
|
簡単に言うと、自力でスポンサーを探すルートは英語の習得と就職に関するサポートを得にくく、いつスポンサーを見つけられるかわかりません。しかし、オーストラリアの高すぎる学費(後述)を考えると圧倒的に安上りな選択肢だと言えるでしょう。
その一方、留学ルートは費用がかかるますが、英語で講義をパスしなければならないので英語力は伸ばしやすいです。学校生活を送ることで就活仲間も見つけられますし、大抵の学校には就職課みたいなのがあるでしょうからそこでアドバイスもいただけます。(私はそこで履歴書とカバーレターの書き方を教わりました。)
私が取ったのは留学ルートでした。そこで、留学に関するアドバイスをいくつかしたいと思います。
留学の準備をしよう
留学にはいくらかかる?
オーストラリアの大学/大学院の年間の学費は、私が調べた範囲ですと
- 一番高いところで$40,000以上(約320万円)
- 一番安いところで約$22,000(約178万円)
…といったところです。2019年の時点だと、私が卒業した学校のITの修士は年額$31,600でした。(リンク)
TAFE(専門学校)は$14,000〜$18,000(112万〜144万円)あたりとなっています。(TAFE Queenslandの場合)
(注:1ドル=80円で計算しています)
多くの人がこれらの数字を見て「高すぎる」感じることでしょう。なので、留学を考えている人は、今から貯金をはじめ、そして奨学金に関する情報を集めましょう。

TAFE(専門学校)、大学、大学院のどれを選ぶ?
卒業ビザ取得の対象となっている学校は大きく分けてTAFE、大学、大学院の3つです。あなたにとって最適な学校はどれでしょうか?
これら3つを大雑把に比較してみましょう。
学費(年) | 期間 | 入学に必要なIELTSの点数(注1) | 卒業ビザ | |
TAFE | $14,000 ~ $18,000 | 1~2年 (注2) | 5.5(各バンド5.0以上) | Graduate Work Stream(1年半有効)(注2) |
大学 | $22,000 ~ $40,000 | 3年 | 6.0(各バンド5.5以上) | Posrt-Study Work Stream(2年有効) |
大学院 | $22,000 ~ $40,000 | 1.5〜2年 | 6.5(各バンド6.0以上) | Posrt-Study Work Stream(コースワークを卒業したら2年、リサーチコースは3年、博士号なら4年有効) |
注1:入学に必要なIELTSの点数は学校および学部によって変わります。行きたい学校を決めた後で再度学校のウェブサイト等で必要な点数を確認しましょう。
注2:TAFEの期間が1〜2年間で卒業後にGraduate Work Streamの卒業ビザを申請できると書きましたが、これはDiplomaと呼ばれる学位を取得した場合の話です。TAFEにはBachelor(大学の学位)を取得できる場合もあり、Bachelorを取得した場合は期間は3年で、大卒者と同様にPosrt-Study Work Streamのビザを申請できます。
私は以下の記事でこれら3つの違いについてさらに詳しく書きましたので、こちらもご覧ください。

私はというと、留学の計画を立てていた時、
- できるだけ期間が長いビザが欲しかった
- 大学院卒だと永住権の取得に有利
…といった理由で、一生懸命貯金して大学院へ行きました。
英語(IELTS)の勉強をしよう
私はかつて”中学の英語からやり直し、IELTSで6.5点以上取るための学習プラン”という記事を書きました。

「外国で働けるようになる」と決めた時、私は中学レベルの英語すら覚えていませんでした。その頃の私と似た境遇にいる人へ向けて書いた記事がこれです。
ここで紹介した勉強法は、「英語上達完全マップ」と呼ばれる書籍を元に、実際に私がしてきた勉強の記録です。あなたがフルタイムの仕事をしていて、平日2時間、土日祝日は8時間を英語の勉強に使えるなら、1.5〜2年くらいで消化できるかなと思います。
「1.5〜2年」と聞いてゲンナリした人もいるかもしれません。が、英語力ゼロからIELTSで7.5点取れるようになった人間として、英語圏で生きて行く英語力を作るには妥当な独学法だと自負しております。Trust me.
就活をしよう
狙い目な仕事に関連した職歴がつき、就労ビザのとり方が分かり、自分の英語力に自信がついたら、いよいよ就活の準備です。
お勧めの求人サイト
オーストラリアで現地就職したい人が絶対に知っておきたい求人サイトは次の2つです。
LinkedInは求職者とリクルーターを結びつけるSNSです。(求人サイトとしても使えます。)過去の記事でも書いたのですが、このサイトに登録しておくと、リクルーターからスカウトをもらうことができます。私の場合(職業・プログラマー)、プログラマー2年目に入ったあたりからほぼ毎月そういったお話をもらえるようになりました。
あなたがもうすでに職歴があるのなら、今日すぐに登録しましょう。
(LinkedInの詳しい使い方はこちらから↓)

seek.com.au
seek.com.auはオーストラリアの最大手求人サイトです。求人数でいうと、このサイトがオーストラリア国内でNo1です。(アルバイトもみつかります。)

「履歴書はどう書けばいいのか」って?英文での履歴書とカバーレターの書き方について記事を書きましたので、こちらをご覧ください。

最後に
ここまで話してきた事を要約すると…
- ビザの取得方法を知り
- そのビザの取得につながる職業を知り
- その職業に関連したスキルと英語をコツコツと身に着けていけば、
英語力なし+手に職なし+コネなしの人間でも、オーストラリアでの現地就職は達成可能な目標です。
もしこの記事で話していない事で知りたい事がありましたら、追加していきたいと思いますので、是非コメントでお知らせください。