注:この記事は2018年9月に書かれたものですが、就労ビザの期限および申請要件は毎年変更される可能性がある為、不定期的に更新されます。最終更新月はタイトルをご参照ください。
この記事では、オーストラリアで働きたい人は
- 自力でどんな就労ビザを取れるか
- スポンサーを見つければどんな就労ビザを取れるか
についてお話しします。
自力で取れる就労ビザ
ワーホリビザ (sub class 417)
あなたの年齢が18〜30歳でしたら、ワーホリビザが最も簡単に取れる就労ビザです。
- 期限:1年
- 費用:485豪ドル
オーストラリアのワーホリビザは1年間有効なのですが、同じ雇用主の下では最大で6ヶ月しか働けません。政府のホームページからの説明はこちらから。

ワーホリビザ(Second/Third)
一度目のワーホリ期間中に特定の地域で特定の仕事(後述)を合計3ヶ月していた方は、Second working holiday visa、通称セカンドワーホリビザを申請してさらにもう1年間オーストラリアで働く事が可能です。そして、セカンドワーホリビザが切れた時点で同様に特定の地域で特定の仕事を合計6ヶ月していた場合、サードワーホリビザを申請できます。
- セカンド・サードワーホリにも一度目のワーホリと同様に同じ雇用主の元では最大6ヶ月しか働けないといった制限がありますので注意
- セカンド・サードワーホリ共に申請費用は485豪ドル、有効期間は1年間です。
”特定の地域”とは、簡単に言うと、キャンベラ、シドニー、ニューキャッスル、セントラルコースト(NSW)、ウーロンゴン、ブリスベン、ゴールドコースト、メルボルン(の都市部)、パースを除いた地域です。
”特定の仕事”の代表的なものは…
1・植物及び動物の飼育
- 果物、野菜の収穫およびパッキング
- 販売及び繁殖を目的とした動物の維持
2・漁業
- 魚および他の海洋生物の捕獲に直接関連する業務
3・林業
- 栽培場での伐採、木々の植え替え
4・鉱業/鉱山業
- 石炭の採掘、オイルやガスの抽出
5・建設
- 住居/非住居の建物の建設
(これらの仕事及びセカンドワーホリ申請に関連した地域の詳細を知りたい方は政府のページからどうぞ)
卒業ビザ(Temporary Graduate visa – subclass 485)
50歳未満でCRICOS(政府が認定した、留学生を受け入れられる学校・課程)に登録されているコースを修了した人が取れるビザで、Graduate Work Stream とPosrt-Study Work Streamの2種類が存在します。
以下がそれらの違いです。
申請条件 | 期限 | |
---|---|---|
Graduate Work Stream |
|
18ヶ月 |
Posrt-Study Work Stream |
|
(注3) 2〜4年 |
以下、補足説明です。
過去の記事でMLTSSLについて説明しましたが、ここでもそれと同じ説明を繰り返します。
オーストラリアには外国人向けのビザの対象となる職業の一覧のようなものがあり、そのうちの一つがMLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List:中・長期計画的技術リスト)、もうひとつがSTSOL(Short-term Skilled Occupation List:短期的職業リスト)です。
一部の就労・永住ビザを申請する際、これらのリストに載っている職業ができることが条件となっている場合があるのです。
砕けた言い方で言うと、「これに載っている仕事ができる外国人だったら卒業ビザや技術系の就労・永住ビザを申請できるよ」、という訳です。(これに載っている仕事ができるだけでビザが取れるという訳ではありません。)
MLTSSLに載っている485と関連した職業は、こちらの政府のページから探すことができます。
一部の就労・永住ビザに申請する際に必要な、政府から認定された団体による審査です。参考までに、私が受けた審査を以下のようなものでした。
私がしたことは・・・
- 卒業証明書、雇用主からの推薦状(つまり、オーストラリア人を雇う代わりにこの人を雇いたいといった趣旨の手紙)、パスポートのコピー等をオンラインで認可団体に提出
- 同様に、認可団体のウェブサイトで個人情報に関わる質問にいくつか回答
- 申請代(500ドル前後でした)を払う
1ヶ月後、メールで合格の通知を貰いました。ビザ認可団体はACS、職業はSoftware and Application Programmerです。
(「技術審査」と聞いていたので、プログラミングの課題やアルゴリズムの問題が出るのかと思っていましたが、そういったものは全くありませんでした。)
認可団体の一覧はこちらから。
以下のとおりです。
学位の種類 | 有効期限 |
---|---|
Bachelor
Bachelor Degree with Honours Masters by Coursework Degree Masters (extended) Degree |
2年間 |
Masters by Research Degree | 3年間 |
Doctoral Degree | 4年間 |
おまけ:特定卒業ビザ(Skilled – Recognised Graduate visa – sub class 476)
2019年に新たに追加されたビザです。(ちなみに「特定」は私が勝手に付けた訳です。)このビザは特定の学校で工業系の学位を取得した人のみを対象としてビザです。
このブログではこのビザの詳細は説明しません。なぜなら、その特定の学校に日本の学校もオーストラリアの学校も含まれていないからです(だから『おまけ』にしました)。
対象となっている学校に興味がある方はこちらのリンクから。
スポンサーを得ることで申請できる就労ビザ
現在、スポンサーを得ることで申請できる就労ビザは以下の2つです。しかし、実質現時点で申請可能なのはTemporary Skill Shortage visa(sub class 482)こと通称TSSビザの1つのみです。
(かつてはEmployer Nomination Scheme (ENS) visa及びRegional Sponsored Migration Scheme visaと呼ばれるビザも存在したのですが、2020年時点では2つとも永住ビザとして取り扱われています。)
申請条件 | 期限 | |
---|---|---|
Temporary Skill Shortage visa
(TSSビザ) |
|
STSOLに載った職業を選んだ場合は2年(職業によっては4年)
MLTSSLの場合は4年 |
Skilled Regional (Provisional) visa : Extended pathway |
|
4年 |
捕捉
- TSSビザは基本的にスポンサーの元でないと働けないのですが、あなたが例外リストに載っている職業に従事している場合は勤め先の制限がありません。
- Skilled Regional visaにはInvitated pathwayという種類も存在しますが、2020年1月時点では新たな申請者の受付を行っていません。
- これらのビザに関連した職業はこちらのページ(Skilled occupation list)から探せます。すこし下の方へスクロールすると、以下のような検索ボックスが見つかります。そこから興味のあるビザを選んでください。

これら以外のビザ
オーストラリアで働くためには、これらのビザ以外では
- 永住権を取る
- 学生ビザを取る
といった方法があります。
ただし、永住権を取るのは(一般的にいって)就労ビザを取るよりも複雑な上に時間がかかることが多く、学生ビザでは週20時間しか働けないといった規制が存在します。なので、これらのビザについてはこの記事では割愛します。
結局、どのビザを狙えばいいのか?
あなたが留学する予定で、あなたの目的が出来るだけ長く働きたいのでしたら、卒業ビザ(Posrt-Study Work Stream)を取得し2年(あるいはそれ以上)働き、その後・・・
- 雇用主からTSSのスポンサーになってもらう
- 永住ビザに切り替える
などしてビザを延長するのがおそらく最も堅実な方法かと思います。
その一方、もしあなたが・・・
- もうすでに語学力に自信があり、そして
- STSOL・MLTSSLに載っている職業経験が2年以上ある
・・・ようでしたら、求人サイトからビザのスポンサーになってくれる企業に自分から応募し、TSSを出してもらうのが良いと思います。
高橋さん
初めまして、いつも楽しくブログを拝見しております。
ITエンジニアとしてオーストラリアへの移住を検討している者ですが、一点質問させてください。
オーストラリアにおいて現地の大学院でコンピュータサイエンスの学位を取得した人(ITエンジニア未経験)
と、日本など海外でITエンジニアの職歴はあるが、学位がITと全く関係無い人ではどちらが現地で職を得やすい傾向にあるでしょうか?
その辺りの実情を教えて頂ければと思います。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします
KENICHI NAMBUさん
こんにちは。
>オーストラリアにおいて現地の大学院でコンピュータサイエンスの学位を取得した人(ITエンジニア未経験)と、日本など海外でITエンジニアの職歴はあるが、学位がITと全く関係無い人ではどちらが現地で職を得やすい傾向にあるでしょうか?
私は”ITエンジニアの職歴はあるが、学位がITと全く関係無い人”にオーストラリアで会ったことがありませんでした。なので、どちらの方が職を得やすいかについてはコメントできないですね…。
エンジニアの職歴があることは(移住先がオーストラリアだろうがどこだろうが)評価されるとは思いますが、いかんせん実例を見たことが無いのではっきりしたことは何も言えないです。