海外生活全般

物価が安い国へ移住する前に知っておくべき隠れたコスト

「今の収入レベルを落とさず物価が安い国へ住めれば、贅沢三昧できるかも?」「物価が低い国へ移住すれば早期リタイアできるかも?」

海外移住に興味がある人の中でそういったことを考えている方、結構いるのではないでしょうか。

かの有名なベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」で、著者は「いくら稼げるかよりも、いくら手元に残るかの方が重要」と話していました。私は二十歳ぐらいの頃にこの本を読み、『日本の会社員並み(あるいはそれ以上)に稼ぎつつ、物価が低い国に住むこと』についてなんとなく興味を持ちました。

時は過ぎ。

32歳になった私は、欧州諸国の中では物価が安い部類に入ると言われる、ポーランドに住み始めました。毎月の手取りの収入はオーストラリア時代と比べると下がったものの、支出はそれ以上に下がってくれました。おかげで、(街の中心の近くでオウンルームを借りたり毎週外食したりと)以前よりもゆとりのある暮らしを送っているにもかかわらず、以前とほぼ同じ額のお金を貯金できています。

「いくら稼げるかよりも、いくら手元に残るかの方が重要」

経済的に楽をしたいなら、この考えは正しいと私は今でも思っています。ただし、あなたが海外移住したい主な理由が毎月の支出を減らすことなら、単純に『収入-支出』を計算することに加えて、以下の隠れたコスト(…と、私が勝手に思っていること)について考えておく必要があるかもしれません。

1つ目:インフラからくるコスト

私はこれまでアジア、オセアニア、中東、ヨーロッパの合計17か国を訪れたことがあります。それらの中で、『物価が安い国』と見なしてよいであろう国々では、水道水ではなく必ずペットボトルの水を買って飲むようにしていました。

(ただしエストニアは除く。エストニアはGDPだけ見ると物価が安いように見えますが、水道水は飲めました)

以前も話した通り、ポーランドでは水道水が飲めるかどうかは意見が分かれるところであるため、私も家ではペットボトルに入った水を買って飲むようにしています。

もしかしたらあなたはこれを読んで「”隠れたコスト”ってそんなこと?大げさじゃね?」程度にしか思ってないかもしれません。「水なんて高くないでしょ」とか、「浄水器買えばいいじゃん」とか。確かに、ペットボトルの水の値段自体は大したことないです(し、水道水をそのまま飲むのを控えること自体はもう慣れました)。

では、シャワーからお湯が出てこなかったら?ネットが遅かったら?停電が頻発したら?そういった問題は物価が低い国を訪れると度々出くわす問題です(”低さ”の程度にもよりますが)。

日本で当前のレベルのインフラを物価が低い国で享受するには、あなたはおそらくインフラ整備が進んでいる街(あるいは地区)に行ったり、あるいは現地の基準では高めなアパートに住むことになるでしょう。でもそんなことしてしまうと、期待していたほど生活は安く上がらないかもしれません。

(とりわけ、あなたがリモート勤務を許可されているITエンジニアで、『生活コストを浮かしたい』という理由で物価の低い国へ移住するなら、ネットが激遅だったり停電が頻発するような土地は選びたくないのでは。)

2つ目:海外産の商品やサービス

これも以前話したことがあるのですが、ポーランドでは国産の物・サービスは安めな一方、輸入品は高めな場合が多いです。

ポーランドのスーパーにて:果物とナッツ類
本当に安いの?ポーランドの物価と税金の仕組み、そして私の1か月の生活費を紹介「物価が低い国に住みながら日本人のサラリーマン並みに稼げれば、楽な生活が送れるのでは?」海外移住に興味がある方の中には、そういう(やらしい)事を考えている方は結構いるんじゃないかと思います。 で、今日は「物価が低い国に住んでみようかな」と思っている人へ、ポーランドで生活するのがどのくらいかかるかについて話します。...

この記事の最初の方に書いた通り、輸入品は日本で買う場合と大差がない場合がほとんどです。主にシャンプーやら歯磨き粉なんかが該当します。H&Rで売ってる服の値段も日本とほぼ同じ。あと最近気づいたんですが、マクドナルドのコーヒーの値段も日本と同じくらいでした。当然ですよね。これらの会社が存在するのは物価が低い国ではないでしょうから。おそらく他の(物価が低いと言われるような)国にも、同じことが言えるのではないかと思います。

他にも例をいくつか挙げましょう。

Netflixは?私はNetflixを使ったことが無いのでさっきネットで調べてみたのですが、どうやら今日の時点では日本だと月額800円する一方でポーランドでは約1,020円(正確には34zl)するようです(リンク)。

iPhoneは?iPhone11はどうやら一番安いもので8万円弱するみたいですが、国によってはiPhoneを買えるお金で月の生活費が賄える場合すらあるかもしれません。

あなたがどこの国に移住することに興味があるのか知りませんが、もし移住先でこういった海外産の物・サービスを頻繁に買ってると、なんだかんだで安上がりな生活は送れないかもしれません。

その他

もう一つの隠れたコストが、治安の良い暮らしを送るのにかかるコストです。

一般的に言って、どこの国でも治安が悪い地区とは貧困層が集中している地区です。ただ『安上がりな暮らしがしたい』というだけで、そういった地区には住みたくないでしょう。当然あなたは治安が良い地区を選ぶはずです。では、もしそこが(現地の基準では)お金持ちしか住めないような地区なら、もしかしたら期待していたほど支出は下がらないのでは。

(↑この話、「物価が高い国にも言えることでは?」と思ったので『その他』にしました)

最後に

物価の低い国へ移住すれば支出は減るかもしれません…が、あなたが日本の中流階級のような暮らしをしたいなら、なんだかんだでそれ相応の収入が必要になるかもしれません。なんだか夢の無い話で申し訳ないです。

では、”それ相応”の収入を得るにはどうすればいいのでしょうか?思いつくのは…

  1. 移住先で高給取りになれそうな、市場価値のある手に職+外国語を覚える
  2. 物価が高い国(日本含む)の人間や企業を相手にリモートで仕事をできるようになる
  3. オンラインで起業する(アフィリエイト、ドロップシッピング等)

幸いなことに、我々ITエンジニアにとって1と2は他の業種と比べるとハードルが低いです。1についてですが、ポーランドに限って言えば、プログラマなら現地の基準の倍以上貰える求人はザラにあります。2については、ポーランドに住みながらロンドンにある企業を相手にリモートワークをしているネットワークエンジニアに会ったことがあります。夢のある話ですね。

私は残りの人生をどこの国で過ごすことになっているのかわかりませんが、もしポーランドに住み続けるなら(あるいは、似た経済水準の国へ行くなら)、1だけじゃなくいずれは2に挑戦したいと思ってます。そのための計画については、また次回以降の記事で書きたいなと。

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