キャリア

『海外で就職したいけど今さら大学なんて行きたくない人』はどんな戦略を取ればいい?

『英語とプログラミングを覚えて、あとは大学でITに関連した学部を卒業すれば、世界中で就職できるようになれる』みたいな感じの話を、私は2年前このブログで書きました。

英語・プログラミング・ITの学位があれば、世界中が仕事のセーフティネットになる『有名大学出身のエリートじゃなくても、英語とプログラミングを覚え、ITに関連した分野の学位があれば、色々な国の会社からビザ付きで雇っても...

この話は昔の自分のように『海外で働いてみたいけど、そんな生き方はエリートの特権』と思い込んでいる人に希望を与えたくて書いたつもりです。凡人でも努力次第で人生巻き返せる!今からでも遅くない!だから勉強しようぜ!といった具合に。が、この話を読み返すとどうも言葉で表現しがたい違和感を覚えてしまうのです。「こんな話、本当に誰かの役に立つのか」って。

 

「英語とプログラミングを覚えて、大学でITに関連した学部を卒業すれば、世界中で就職できるようになれるよ」…?

英語とプログラミングを覚えるだけじゃ駄目なの?大学も出ないといけないの?

それってしんどすぎないか?

 

あの話は中学生や高校生にとっては進路のアドバイスになり得るでしょう。一方、海外移住の話が中心のこのブログが中高生から読まれているかどうかは疑問です。部活で活躍したいとか、クラスの人気者になりたいとか、中高生が考えることってそんなことじゃないですかね。

大学生や社会人には『大学院へ行って専門分野をITに変える』という選択肢が残されています。私もそうしましたし。(ドイツやオーストリアのような)学費が安くてなお且つ英語で学位を取れる国へ行く、あるいは会社員を続けながら通信制の夜間コースで修士を取るといった方法もあります。が、いずれも時間的に多大な投資であることは変わりないです。フルタイムで修士の学生をするなら1.5~2年、パートタイムならその倍が費やされますからね。

ブログを始めて2年半経ち、たまにメールやコメントを貰うようになったのですが、海外留学・就職関連の質問をされた人は皆高校なんぞとっくに出ている成人の方々のようでした。中にはすでに自分の家庭を持っている方もいました。そういった人達に「学校へ通いなおしてCS・IT系の学位を取ってこい」なんて安易に言いづらいです。

そこで今日は

  • 海外で(主にソフトウェアエンジニアとして)就職するのにIT系の学位って本当に必要なの?
  • 今さら大学なんて行きたくない人はどんな戦略を取ればいい?

について改めて考えてみようと思った次第です。

海外での就職するのにIT系の学位って本当に必要なの?

この問いに対する私の答えは『必要とは限らないけど、あなたが行きたい国によってはあった方が有利』です。以下、詳細。

学位は必要とは限らない

冒頭で紹介した記事にて私が「学位があった方が良い」と話した理由は、IT・CS(コンピューターサイエンス)系の学位の有無で足切りをしている求人が度々存在するからです。

 

私が日本で会社員だった頃、リクナビみたいなウェブサイトで

SE募集。学歴不問。経歴不問。(但し35歳まで)

みたいな求人をよく目にしたものです。が、オーストラリアやEU諸国で転職活動をした時にそういった露骨な年齢差別をしている求人は一度も見ませんでした。どこの企業も応募者の技能・職歴・学歴の3点を見ているのです。

 

(Stackoverflowの求人ページの一発目に載っていた求人。コンピューターサイエンスの学位があると有利ですよ、とのこと。スウェーデンにある会社らしいです)

 

では『大卒じゃないとどこにも就職できないの?』と言うと、必ずしもそうではありません。

ここに海外移住のQ&A|シティーズというウェブサイトがあります。海外移住に興味がある人が既に海外移住した人に質問をするウェブサイトで、以前こんな質問が投稿されました。

私は高卒で、大卒資格を所持しておりません。 これがどれほど大きなネックになるのか、イメージが掴めていません。(中略)海外企業に就職するという場合、日本での実務経験がそれなりにあっても大学時代の専攻など大きく関わってくるものでしょうか。

この質問に対し、シンガポールの現地企業でエンジニアをされている方から以下のような回答が。(リンク

当方、大学中退の高卒ですが海外でエンジニアやってます。

こちらの方は日本でベンチャーに就職→シンガポール赴任→現地で転職というキャリアパスを辿っているようです。このように、日本の会社で職歴を積み、(学位無しで)海外の現地企業で職を得た例は存在するのです。

 

「そりゃいいこと聞いたわ!今さら大学なんか行きたくねーし!」

と喜んでいるところに水を差して悪いんですが、「学位=不要」と結論付けるにはまだ早いです。あなたが住みたい国によっては、遠回りしてでも学位を取った方が後々楽な人生を送れるかもしれません。学位が真価を発揮するのは、求人へ応募する時ではなくビザを申請する時なのです。

学位があるとビザの面で有利になることがある

こちらの記事にて説明した通り、EU加盟国にはEUブルーカードというものがあります。このブルーカードとは、有効期間が3~5年と比較的長めで、尚且つEU圏内のどこでも有効なとても便利な就労ビザです。このビザの申請条件は…

  • 大卒以上の学歴(あるいは、国によっては5年以上の職歴)を持っている
  • 現地の会社から最低でも1年以上の雇用契約を結んでいる
  • 現地の平均の1.5倍以上の給料を貰える

このように、大卒という肩書にはこんなお得な特典が付いてくることがあるのです。

以下、大卒だとビザの申請で有利になる別の例を挙げてみます。

  • シンガポールではS Passと呼ばれる就労ビザがあり、これを取得するには学士かDiploma(*)が必要(参照元
  • オーストラリアとカナダでは永住権がポイント制で付与されている。最終学歴が高いと高得点が手に入る(オーストラリアカナダ
  • ニュージーランドではSkilled Migrant Category Resident Visaという永住権につながる就労ビザがあり、これもオーストラリアやカナダの永住権と同様にポイント制で認可が決まる。学歴が高いほど高得点が手に入る(参照元

(*Diplomaとは海外だと短大や専門学校に該当する学校で得られる修了書。日本の学校で手に入るかどうかは知りません)

まとめると、

  • 大卒じゃなくても海外で就職できた例はあるから『学位=必須』とは限らない
  • でも渡航先によっては大卒だとビザの取得で有利になることがある

といった感じです。

今さら大学なんて行きたくないならどんな選択肢を取ればいい?

さてここまでの話を踏まえて、改めてIT系の学位無しで海外で就職する為の手段を考えてみましょう。思いつく選択肢と言えば…

1:学歴がビザに影響しない国を探す

例えば私が現在住んでいるエストニアですが、就労ビザの取得に語学力、学歴、就労経験といった細かい申請要件はありません。

原文:There is no such thing in Estonia as a special “work permit”. You can work here if your short‐term employment is registered by your employer and your stay here is legal or when you have a valid (temporary) residence permit for working.

意訳:エストニアでは特別は”就労許可”なるものは存在しません。あなたの短期労働契約があなたの雇用主から登録されていてあなたの滞在が合法であるか、あるいはあなたが就労の為の(一時的)在住許可を持っているなら、あなたはここで働けます。

参照元

早い話が、現地の企業に応募し、選考をパスし、待遇面で合意に至ればビザの心配は要らないのです。エストニアだとITの技術職なら現地基準だとかなり良い賃金を貰えますし、英語も通じやすいんで住みやすいですよ。ついでに私もいますよ(?)。あなたがIT技術者なら候補地の1つにいれてみてください。

2:学歴以外のことで自分の価値を上げる

学歴以外のこととは主に職歴+職能です。

まず職歴です。ソフトウェアエンジニアとしての職歴は別の国へ行っても通用します。例を挙げると…

  • まず、私の例です。私は今の勤め先に応募した時点でおよそ4.5年の職歴がありました。内訳はオーストラリアで3年+ポーランドで1.5年です。
  • 次に、私のオーストラリア時代の級友(台湾人)の例です。彼女は母国でiOS開発者をしていたそうで、オーストラリアで就活をした時にその経歴はちゃんと考慮してもらえてそうです。

もしあなたが日本ですでにエンジニアとしてのキャリアを歩んでいるなら、その仕事を続けましょう。残念な会社に入ってしまったのなら「ここは将来海外で活躍する為の踏み台だ」と逆に利用してやるくらいの気概を持ちましょう。(ただし過労死上等の劣悪な職場に入ってしまった場合は別です。もう少しマシな所へ転職しましょう。体を壊しては元も子もないので。)

次に職能です。(←”スキル”でもいいですよ。)ソフトウェアエンジニアの場合、必要なのはプログラミングと英語の習得です。…これについては「コツコツと勉強しましょう」としか言えないです。

「え?それって普通に働きながら勉強しろってことやんけ!」

って今思っている人、いると思います。戦略もクソもなくてごめんなさい。私も本当はここで学歴をカバーする魔法のようなトリックを紹介したかったんです。

でも結局転職は転職なんですよ。『自分のスキルを上げる→応募する→受かるまで継続』なのです。国も学歴も関係ありません。コツコツ頑張りましょう。私もまた別の国へ行きたくなる日が来ると思うので、その時に備えて日々精進しております。

3:上記1と2を組み合わせる

学位が無いなら職歴や能力でカバーしなければいけません。でも職歴を付けたり何かを勉強したりするのって別に日本じゃなくてもできますよね。そこで、大卒じゃなくてもビザを取れそうな国へ行き(上記1)、その国でキャリアを積んでいく(上記2)のです。

「でも自分が行きたい国だと、大卒じゃないとビザ取るのしんどそうなんだよね…」

とお悩みの方も、時間的な余裕があるならとりあえずビザを取りやすそうな国に住んでみるのはいかがでしょうか。そこでキャリアを積んでいき、エンジニアとして腕をみがいた後に第1希望の国でビザのスポンサー探すのです。

上述のシティーズというウェブサイトを作ったジャバ・ザ・ハットリさんという方は日本→シンガポール→ドイツと国を跨いだ転職を2回されています。以下、同氏のブログより抜粋。

「海外移住といえば北米だ!」「ヨーロッパだ!」「東南アジアだ!」って決めつけはおすすめしない。行ってみなければ分からないし、私にしてもいろいろ移動しまくっているが、いまだにどこの土地が1番なんて言えない。その日の気分によって「ヨーロッパがサイコー」な日もあれば、そうでない日もある。

引用元:世界で1番あなたにとって住み心地のいい場所を探し出す方法

世界は広いです。エンジニアとしての機会なんてたくさん転がっています。だからこそ初めから最終目的地となる国を決める必要はないのです。

最後に:大卒の肩書はビザ取得の補助輪にすぎない

学位とは自転車の補助輪みたいなものです。

一般論として、どこの国も自国に何らかの利益をもたらす外国人にしか来てほしくないのです。そんな時に大卒という肩書は役に立つのです。ビザを出す側の人間からすれば、どこの馬の骨ともわからない奴よりかは、何らかの社会的証明を持っている人間を選びたいでしょうから。そういう意味では、補助輪として学位を取るのはありです。

それでも、学位自体はどこまでいっても補助輪に過ぎないので、あなたを理想のキャリアに導くような代物ではないのです。例えば、ソフトウェアエンジニアの場合なら、目の前のバグを修正できないなら、どんな立派な大学を出ていようが誰からも感謝されませんからね。

冒頭で紹介した記事にて『ITの学位があると有利だよ』と言いましたが、あれを読んで『今さら大学なんて…』とお嘆きになってしまった方には、行き先選びとスキルアップ次第で海外就職は可能だということを是非覚えておいていただきたいです。そう思って今日はこんな話を書いてみました。

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