前回の記事で、正社員を辞めて留学なんぞしたら
- 学費・滞在費に加えて機会的な損失がいくらでるか
- 日本で復帰するのが難しくなってしまうのではないか
…といった事を書きました。

今回は社会人を辞めて正規留学すること(行き先はオーストラリアとは限らない)のメリットを書きます。
残りの人生で働ける場所の選択肢を増やせる
例えば、あなたが今の仕事を辞めてオーストラリアのTAFE・大学(院)にて専門技術を覚えたとしましょう。卒業後の進路は少なくともオーストラリアと日本です。その後英語の勉強を継続しつつ職歴を積んでいけば、シンガポールや香港と行った英語がよく使われているアジアの発展した地域や、欧州の非英語圏でビザを出してもらえる可能性も生まれます。
(余談:英語とプログラミングのような専門技術があれば、欧州の非英語圏でもビザを出してもらえます。詳しくは以下の記事をご覧ください。)

あなたの現在の職場で
- 海外でも使える専門的な技能を身につけらる
- 外国語を使う機会がある
…ようでしたら、わざわざ退職し正規留学するメリットは低いかもしれません。現在の職場で経験値を積んでいけば、いずれ日本の外でも働ける人材になれるかもしれません。が、そうでない場合、あなたのキャリアの選択肢はおそらくずっと日本国内に限定されます。
このことから、留学をし海外で職歴を積むことで、自分の将来の選択肢を国際的に分散投資できるといっていいでしょう。
でも、働ける場所の選択肢を増やしてどうするの?
働ける場所の選択肢が増やすことを勧める理由、それは今後日系企業で正社員を続けても、今後経済的に豊かに慣れる見込みは低いというからです。なぜなら、賃金が上がりそうにないのに関わらず、人口減少と高齢化に伴い負担が増える可能性が高いのですから。

上のグラフからみてわかるように、1990年代半ば以降、日本のGDP・そして正社員の賃金は伸び悩んでいます。
人口減少と高齢化のせいで負担が増える(であろう)理由は…
- 人口減少・高齢化は、国内の市場の縮小と労働力の低下を意味する
- 市場の縮小と労働力の低下は、政府の財源の縮小につながる
- 政府の財源が縮小するということは年金がもらえる見込みが減るし、政府は財政を立て直すために税金を増やさなければならない
- そして高齢者が増えるから医療費の負担も増えるかもしれない
- さらに国内の市場の縮小するということは、国内で働ける場所の選択肢も減る
働ける場所・住める場所が増えるということは、これらのリスクを回避できる可能性が出てくるというわけです。
既卒者でもキャリアの変更ができる
前回の記事でお話したとおり、日系企業の多くが年功序列で賃金を決めており、日本では年をとってからキャリアを変更するのが(他国と比較して)難しいのです。私がまだ日本で働いていた頃は「35歳限界説」なんてのも耳にしました。
噛み砕いて説明すると
- 日系企業は年齢が高い社員に高い給料を払わなければならない
- なので、仮にあなたが有能でも、年齢相応の実績・経験が無いと雇いづらい
- 結果、一度社会に出てから新しい技能を身に着けても、経験が無いなら雇ってもらえる見込みは低い
…ということなのです。
大人になってからやりたいことや将来の夢が見つかる人って、結構いるんじゃないでしょうか?私はそういった人間の一人でした。そういった人には海外就職は妥当な選択肢です。「◯◯歳過ぎたら新しい業界へ行けない」といった年齢のハードルが下がるのですから。(実際、30過ぎてから大学院で勉強し直している人に私はオーストラリアで何度も会いました。)
社会人という立場に関係ないメリットは?
タイトルの通り、上記のようなメリットは「社会人の立場を捨てて留学する」という視点から書きました。これらに加えて、あなたの現在の立場が社会人であってもなくても、正規留学は以下のようなメリットをもたらしてくれます。
- ネイティブスピーカーに囲まれながら外国語を覚える機会が得られる
- 異国の人達と一緒に働いていく為に必要なコミュニケーション能力が身につく
- 異国に長期間住むことで、環境的な適応力が身につく
1と2は外資系に勤めるなどしなければ、おそらく日本ではできない経験ではないでしょうか。
最後に
「海外で学位を取る、海外で職歴を積む」と考えただけで、冒険心が掻き立てられる人もいらっしゃるのではないでしょうか。私もそうでした。そういった人が賢い決断を下せるようにと思い、メリットだけでなく(前回の記事で)リスクも書きました。
あなたがもし留学を経験されていて、「こういうリスクもあるよ」「こういったメリットもあるよ」といったご意見をお持ちでしたら、コメント欄などで是非お聞かせください。