海外生活全般

海外移住するならどんな国・街が良い?自分にとっての理想の条件を考えた

「君、最終的にはどこの国に落ちつくつもりなの?」

先日、チームリーダーの自宅で職場の同僚達からささやかな送別会を開いてもらい、そこでチームメイトのトルコ人からそんなことを尋ねられた。

自分はこれまでオーストラリア→ポーランド、ポーランド→エストニアと国境を跨いだ転職を2回している。そしてビザが予定通り出れば7月頃にはチェコで転職するので、転職を兼ねた海外移住はこれでもうすぐ3度目。日本→オーストラリアの移動も入れたら4度目だ。

この仕事を始めてから自分のように異国の地でIT技術者をしている人間には何度も会った。今のチームも自分を含めて9人中7人が外国人だ。そして自分はその中でも移動回数が最も多いので、職場でチームメイトと雑談しているとその事がネタになったことが過去にあった。で、その送別会でもその事が話題になったのだ。

「プラハの暮らしが気に入ったらずっと住み続けるだろうけど、もっと良い場所が見つかったら多分そこへいくんじゃないかな。最終的にはどこの国に住むかはまだわからないよ」

と、そのトルコ人に答えた。

それを聞いていた別の同僚(ナイジェリア人)がこう言う。

「俺はアメリカに興味がある。エンジニアの賃金めちゃ高いらしいからさ。でも医療サービスが酷いらしいから、仕事抜きにしたらヨーロッパの方がきっと生活の質は良いんだろうけど」

それを聞いていた別の同僚(フランス人)がこう言う。

「ヨーロッパは良くてもフランスは止めとけ。アメリカよりかはマシかもしれないけど、フランスも医療サービスは全然駄目だからな。病院へ行ったら長い列に並んで待たされることになるんだ。俺にとってはエストニアが一番いい国だ」

それを聞いていた別の同僚(エストニア人)がこう言う。

「俺はオーストラリアとか東南アジアに住んでみたいけどな。暖かくて住み心地が良さそう」

 

…とそんな感じで各々が理想の居住地について語り合うのを聞いていて面白いなーと思った。

タリンに来たばかりの頃はタリンの住み心地が良いので「ここならずっと住めそう」って思ってたんだけど、今は何年も同じ場所に住んで同じ会社に勤めるよりも、1~2年おき、長くても3年おきくらいに居住地と職場を変えた方が刺激があって楽しいと思ってる。いい条件の仕事が別の国で見つかったら、あるいは他の国でやってみたいことが見つかったらまた住む国を変えるつもりだ。

で、今日はそんな根無し草の自分にとって、移住先としての理想の国(あるいは街)の条件について考えてみた次第。

条件1:ワークライフバランスが良い

覚えてくれてる人もいるかもしれませんが、自分がそもそも海外でサラリーマン生活を送っている理由の一つは日本の労働文化に疑問だったからです。

「日本人は残業しすぎ」

「有給取得日数も少なすぎ」

「毎日定時帰りで有給もしっかり消化する他の先進国の人達に、日本人は一人当たりGDPで圧倒的に後塵を拝している」

そんな話をネット・テレビ・本で何度も見聞きしているうちに、20代の私は「じゃあ別の国へ行った方がマシなサラリーマン生活を送れるんじゃない?」なんてことを考えるようになったんです。

注:「日本の労働文化に疑問だった」などとのたまっていますが、自分が日本でサラリーマンだったのは今から10年くらい前の話です。今の日本の労働環境はもしかしたら当時よりもマシなのかもしれません。周りに日本人のサラリーマンが一人もいないので、本当のところは自分にはわかりませんが

オーストラリアで初めてのエンジニア職が手に入ってから今日に至るまで、この仕事には特に不満らしい不満はないです。この仕事をしているとリモート勤務もしやすいし、給料も他の職種と比べると多めにもらえるし、いろんな国でビザを取れるし。そして日本でやっていた仕事(不動産管理の仕事でした)に比べるとストレスのたまり具合がずっと低いうえに、周りの人からも良いフィードバックを貰えることが多いです。『俺にはエンジニアとしての才能がある』だなんてハッタリめいたことを言うつもりは微塵もないですけど、エンジニア業は少なくとも日本でやっていた仕事よりかは自分に合っている自信があります。

自分はソフトウェアエンジニアの仕事が気に入っています。なのでこの仕事を続けやすい環境に住みたいんですよね。仮に賃金が大幅に上がっても、日本で働いていた時のような残業漬けな生活は御免です。なのでワークライフバランスの良さは移住先の条件として外せないです。

条件2:収入が手元に残りやすい

これは私のお金に対する考えなんですが、毎月の額面収入を増やすことよりも毎月手元に残せる額を増やすことの方が大事なんです。私の雑な理論によると、収入以外でこの「毎月手元に残せる額」に影響を与えるのが不動産と所得控除なんじゃないかなと。

まずは不動産。アパートの家賃にしろ家のローンにしろ、住宅は家計の中で一番費用がかかる項目です。仮にどこか別の国で新しい仕事が見つかり、そこで手取り収入だけを増やせても、増えた分が家賃で相殺されてしまっては経済的な旨味は薄いのではないでしょうか。なので不動産が高すぎる国…というか街はできたら避けたいです。

次は所得控除です。額面収入が高くても所得税や社会保険料の割合が高いと手取り収入も減る上に、労働する気も失せるんじゃないかと。私にとって税金は国に対する投資みたいなものです。その国に永住するつもりなら払う気にもなるかもしれないけど、ほんの数年住む程度なら話は別です。

 

ヨーロッパ(EU)諸国の所得税の比較(欧州諸国の所得税を比較した図)

 

「でもさ、生活水準が高い国ってどこも税金が高いんじゃないかな?例えば北欧諸国は税率すごく高いけど、公共の教育も福祉もすごく充実しているらしいじゃないか。だから税率が高くてもそれに見合う生活を送れる国だってあると思うんだが」

以前、同僚のチュニジア人に上記の話をしたらそんな返事が返ってきたことがあります。この人はエストニアへ来る前はフィンランドへ移住することに興味があったそうで、今年に入ってからフィンランドの会社からオファーを貰って今月エストニアから去っていきました。

彼の言ったことは正しいのかもしれません。オーストラリアに住んでいた頃にスウェーデン人のハウスメイトがいた時期があったんですが、彼女も「スウェーデン人はちゃんと税金を払った分の恩恵を受けている」みたいな感じのことを言ってました。

  • 税金をたくさん払う代わりに国からなんでも面倒をみてもらう
  • 税金をたくさん払う必要がない代わりに自分の世話は自分でする

どっちの社会が良いかは個人の価値観次第です。私はどちらかというと後者です(まぁ医療に限っては国から良いサービスを提供してもらいたいと思っていますが)。

条件3:仕事の機会以外で何かのメリットがある

「なんでそんなことをしたんだ!?」

この話の冒頭で登場したトルコ人に「自分はオーストラリアからポーランドに移住したことがある」と話した時、そんな反応が返ってきたことがあります。「オーストラリアって物凄く裕福な国なんだろ?もし俺がオーストラリアに移住できるなら喜んで移住するのに!」と。

確かにオーストラリアは裕福ですし、英語だけで生活できる上に賃金もすごく高いです。でも、当時の自分はキャリア以外でオーストラリアに何の魅力も感じなかったんですよね。

オーストラリアを去った理由「オーストラリアで働く事に興味がある人に、自分が現地で就職するまでに至った経験を話したら参考になるかも?」私がこのサイトを始めた理由がそれでした。あまり知られていないみたいですが、オーストラリアはとても裕福な国であり、移住先として人気があります。しかし、私はそんなありがたい国を去ることにしました。...

ポーランドとエストニアは賃金相場や公共のサービスの充実度という面ではオーストラリアに見劣りします。でも私はオーストラリアからこの地にやって来て幸せです。「海外で働けるようになること」を人生の目的にする前、私の夢は世界中のいろんな国を訪れることでしたから。オーストラリアは日本と同様島国なんで気軽によその国まで行きにくい一方、大陸ヨーロッパに住んでいれば近隣の国まで簡単に行けますからね(コロナの影響で過去2年はとても難しかったんですが)。

こんなこと当たり前すぎてわざわざ言うのも気が引けますが、仕事の他に何か楽しみがあるとON/OFFの切り替えがついて生活の質が上がると思うんです。全盛期のホリエモンのように「仕事が趣味」と言えるような人生も人によってはアリかもしれませんが、若いころから死ぬまで仕事しかしない人生は自分は勘弁だなぁと。

 

…と、今日は自分にとっての移住先を決めるための方針みたいなのを書いてみました。

自分は今の転職ついでに別の国へ行くというキャリアが気に入っています。流石に死ぬまでそんな生活は送れないし、いつかはどこかの国に根を下ろすことになるんだろうけど、今より良い仕事のチャンス(それか仕事以外で面白そうなこと)が別の国で見つかればいつでもそこに移住できる身軽さは保っていたいです。

その為にすべきことと言えば

  • エンジニアとしての腕を磨き続ける
  • インデックス投資を続ける(こういう人生を送ると老後の資産は自分頼みなので)
  • 健康の維持に努める(健康を損なうと後で金がかかるので)

ってところでしょうか。そんな訳でまた明日からもコツコツとコードを書いていく所存です。

POSTED COMMENT

  1. ゆー より:

    初めまして。私は以前からこちらのブログを拝見していまして、将来的に海外就職を目指したいと思ってます。文系の学部時代のGPAが低すぎることと学費の関係から海外大のルートは諦め、国内の情報系修士から日本で職務経験を積み海外就職を目指したいと考えています。

    現在修士受験のために研究室を選んでいるのですが、海外就職のために修士時代の研究内容は関係ありますか?情報系の中でも研究内容がかなり文系に近い研究室があり、興味を持っているのですが海外就職という目的からは外れるのではないかという不安があり、自分で調べてみても怪しいサイトしか出てこずイマイチ信頼出来なかったので質問させていただきました。

    • 高橋 より:

      ゆーさん

      こんにちは。

      >現在修士受験のために研究室を選んでいるのですが、海外就職のために修士時代の研究内容は関係ありますか?
      どんな職種に就くかによりけりだと思います。
      私の場合、これまでずっとウェブ開発だけやってきましたが、この分野の仕事だと修士時代の研究内容は選考の際に特に考慮されないです。
      開発だけでなく研究も任せられるような職業だったら関係あるかもしれませんが、私はそういった仕事に就いたことがないのでなんともいえないですね。

  2. ゆー より:

    質問の要点がわかりにくくてすみません。既に学部と専攻までは固定なのですが、海外就職の際に研究室や個人の研究レベルまで詳しく見られるかということを聞きたかったのです。

ゆー へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください