キャリア

フルタイムの仕事を掛け持ちするエンジニア達の話が面白い

プログラミングスキルを上げる習慣

Youtubeを見ていたらとても興味深い話を見つけた。overemployed.comなるウェブサイトが存在し、そこでは複数のリモート職を掛け持ちしている人達(その多くがプログラマー)がいて、いくら稼いでいるか、そして仕事を掛け持ちするノウハウをそこで共有しているのだと。中には年収10万ドル以上の仕事を5つこなし、年100万ドル(今日のレートで1億4600万円)稼ぐ猛者もいるんだとか。

 

なぜプログラマ達は仕事の掛け持ちを始めるのか

Employの意味は”雇う”。なのでOveremployedは強引に訳すと”雇われ過ぎ”である。

Blindと呼ばれるサンフランシスコのITコンサル企業の広報が言うには、アメリカでは雇用の安定に自信があると答えた技術者は8%しかいないのだと。事実、2022年だけで既に32万人がリストラされたそうだ。

アメリカと言えば大学の学費がべらぼうに高いために、若年層の多くが学生ローンで経済的に苦しんでるのだそうな。また不動産が高騰している都市部では家賃を払えずにホームレスになってしまう人も多いと聞く。そんな経済的に不安定な環境でサラリーマン生活を送っていたら、せいぜい1~2年おき程度にしかやってこない昇給のチャンスなんていちいち待ってられないだろう。

アメリカのホームレス人口参照先:https://www.statista.com/chart/6949/the-us-cities-with-the-most-homeless-people/

 

雇用に不安がある。早く経済的に自立したい。そういった理由で彼ら彼女らはOveremployedを始めるのだ。

プログラマ達はどうやって仕事を掛け持ちするのか

overemployed.comは主にプログラマに人気があるウェブサイトらしい。「それはおそらくプログラマはリモート化しやすい職業であることに加えて、時間ではなく成果で評価される仕事だからだろう」と動画の投稿者であるAaron Jack氏は語る。

これを聞いた時に真っ先に思ったのは「でもミーティングが被ったらどうするんだ?リモート勤務しやすくて8時間キッチリ働く必要が無くても、自分で社内のスケジュールまで変えられないだろ?」という疑問である。

上述のoveremployed.comには…

  • 「今どうしても集中しなければならないから」とか「他の(社内の)人と会わなきゃいけないんだ」とか「〇〇の方がその件について詳しいよ」といったミーティングを欠席するための効果的な言い訳
  • 2つのオンラインミーティングにバレずに同時出席する方法
  • ミーティング日時を設定しなおしてもらう方法

といった、2つの仕事(それもフルタイムの仕事)をこなすための実用的なテクニックが紹介されているのだそうだ。

どんな仕事を掛け持ちするか

多くの場合、フルタイムの正社員よりも契約社員の方が望ましい。契約社員の方が賃金が高い場合が多いからだ。そして掛け持ちの対象となるのは勿論完全リモートのポジションである。

ここで一つ注意したいのが、掛け持ちする仕事を探す際、自分のレベルよりも低い仕事を選ぶべきだという点だ。もしあなたの現職がミドルからシニアレベルのエンジニアだったら、ジュニアからミドルレベルの開発職に応募することになる。Aaron氏曰く、高給な仕事を一つだけこなすよりも、それより少し賃金の低い仕事を2つこなした方が総収入が大きくなる可能性が高いからだそうだ。

 

俺はこれを聞いた時…

 

 

と膝を打つ思いで感心してしまった。そりゃ平凡なIT企業にいる平凡なプログラマが稼いでる給料でも、2つ以上合わせればトップ企業で働いているプログラマの賃金を超える可能性は十分ある

それに加えてジュニア~ミドルレベルのポジションは仕事の難易度も低めだし責任も軽めだ。例えば経験10年以上のベテランエンジニアを学校を出たばかりの新人エンジニア達と同じチームに入れて似たような仕事を振ったら、きっとそのベテランは1日8時間もかけずに仕事を終えてしまう。そういう前提なら1度に2つ以上の職場でリモート勤務することは全然非現実的な話に聞こえない。

「もっと腕を磨いて、来年は今の勤め先よりももっとデカい会社に入って給料を上げるぞ」と日頃考えていた自分がまるでアホみたいだ。腕磨かなくてもデカい会社に入らなくて十分収入上げられるやんけ。なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう?

仕事の掛け持ちとは法律的にマズイことなんだろうか

このブログを読んでるあなたがどこに住んでいるのかはわからないけど、おそらく多くの国で仕事の掛け持ち自体は違法ではないだろう。社内規定に引っかかっても犯罪歴が付くことは考えにくい。法に触れそうなことと言えば…

  • 社内の情報を他所に漏らす
  • コードを共有する
  • 今の勤め先の競合他社で仕事を掛け持ちする

といったところだろうか。常識的に言ってこれらの失敗をする人はほぼいないと言っていいだろう。

となると仕事を掛け持ちした際に起こる最悪の事態とは…

最悪の事態について考える

最悪の事態とはクビである。

仮にリモート職の掛け持ちが違法でなくとも、社内の規定でそれが禁止されている職場は世に多く存在することだろう。実際、掛け持ちがバレてクビになってしまうエンジニアは存在する。

冒頭で述べた年収1億4千円以上稼ぐ猛者氏は「恐れるな」「もしクビになっても気にする必要は無い」「常に面接を受け続けるのだ」というメッセージをoveremployed.comに残されている。

この猛者氏はどうやらストレス耐性が人一倍強いように見えるが、これを読んでるあなたはそこまで肝が据わっているだろうか。オンライン会議をしている最中に「この会社の会議に出てることが別の会社の人間にバレたらどうしよう」なんて疑心暗鬼にならないだろうか。

もし勤務時間に他の会社で働いていることがバレたら、やらなければならないのは正直にそれについて話すことだ。Aaron氏によれば、どうやら掛け持ちがバレても上司や人事から見逃される場合もあるのだそうだ

考えてみよう。

  • エンジニアを一人雇うためにマネージャーが何度面接をしなければいけないか?
  • 技術面接の内容を考えたりコーディング試験を作るのにどれだけ時間がかかるか?
  • 求人サイトや転職エージェントにいくら払わなければいかないか?

もしあなたがクビになったらあなたの空きを埋めるためにそういった業務をまた繰り返さなくてはならない。あなたの上司や人事もあなたと同じ人間であり、余計なことはしたくないのだ

とあるIT企業のマネージャーは、自分の部下が言い訳なしにミーティングを何度も欠席したりしているのを不審に思っていた。それがある日、その部下が前の会社をまだ正式に辞めてなかったことに気付いたそうだ。それを知ったマネージャーは激怒したそうだが、彼はその部下には結局何も言わなかったのだという。マネージャーは当時を振り返ってこう語ったそうだ。

「(その部下をクビにするのは)まるで自分の腕を切り落とすようなものだっただろう。誰かがいるのは誰もいないよりかはマシだ」

このOveremployed運動に加わるべきか

この動画を月曜に見つけてから毎日そんなことを考えている。

収入を手っ取り早く上げる方法と言えば転職だが、さすがに1年未満で職場を変えるのは抵抗がある。そんな短期間で辞めたら「今の勤め先で新しい技術を覚えた」と面接でアピールしづらい。それにいくらこの業界がジョブホッパーばかりといっても、社歴1年未満で転職しようとしたら「こいつを採用してもすぐ飽きてまた別のところへ行くだろうな」って採用担当者から思われそうだしね。なので仕事の掛け持ちは今の自分には転職せずに収入を上げる合理的な方法に見える。

一方、勤め先からビザを出してもらってる自分としてはクビになった時のリスクが高すぎる。自分にとってクビは国外退去とほぼ同異義語なのだ。この動画に出てきた人はおそらく全員アメリカに住んでいるアメリカ人だと思うが、ビザという名の人質を取られている自分にとってはクビのリスクが彼らよりも大きい。多分。

そういった事情があるので、今すぐエンジニア業の兼業を始めようとは思っていない…が、兼業エンジニア達に倣って自分も1日の労働時間をもっと減らしてみようとは思っている

 

これまで自分は

9時業務開始→昼間に合計で1時間休憩→6時ちょっと前に退社

という8時間労働生活をクソ真面目に続けていた。が、この動画をみた翌日(今から3日前)から、

10時勤務開始→5時退社

というパターンを始めてみたのだ。

完成するまで秘密にしたかったんだけど、去年から空き時間を使って小規模な事業者向けのウェブシステムを開発している。自分のビジネスってやつを持つことに憧れているからだ。完成したらFiverrのようなクラウドソーシングで買い手を見つけて売るつもりだ。会社での労働時間が減った分はこの活動に充てていきたい。

最後に

エンジニア業の兼業はすごく面白そうでいずれはやってみたいが、(1)リストラされた後のビザ問題についてどうするか(2)自分は本当に1日4時間程度で今の仕事を続けられるかという問題をまずクリアするところから始めたい。

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